ささやかな表明





最近、「舐められる様な」視線を感じる。
「舐められる様に見られる」…ってのは、女性の自意識過剰か何かで、そんな見られ方なんてない、なんて思っていたんだけど。
今ならそんな気持ちが分かる。
世の女性の皆さん、ゴメンナサイ。
今現在、自分がそのように感じる視線を、一身に受けています。

その視線を向けてくるのは、同居を始めて大分たつ、金髪・金目の、顔立ちの整った年上の「男性」。
名を、エドワード・エルリックという。



その視線を感じるようになってから、彼は研究にあまり没頭していないようだ。
…全くしていないわけではないが、でも、気付くと僕が視線を感じているから、彼自身だって僕からそんなに離れて行動をしていない、ということだ。
彼の研究の進み具合だって気になるし、なにより僕が研究に没頭できない。ので、とうとう、僕は爆発してしまった。

「エトヴァールト!何で君は、最近僕の事をそんなに見るばかりしているんだ!!」
叫んでしまったが、その言葉に彼はきょとん、としてしまった。
「俺、そんなにお前のこと見てたか?」
…自覚がなかったらしい…。
「見てたよ。見てました。『舐めるように』って言葉を僕が実感してしまう程に見てくれてたよ!!」
詰め寄ると「あー…、そうか。ゴメン。すまん」と謝ってきたけど、本当に反省しているようには見えない。
さぁ、理由はなんだ?聞くまでは僕も気持ち悪くて引けないぞ?、という目でにらみつけてやる。
すると、ぽつりぽつりと、ばつが悪そうに彼は話し始めた。
「いやぁ。俺のアルとは、違うなぁ…と思って、さ」

ずきん。
心のどこかが痛い。…ような気がした。
アルフォンス・エルリック。
エトヴァルトが言うには、僕とよく似た、僕と同じファーストネームのエトヴァルトの実の弟。
そして、エトヴァルトの、世界で一番大切な人物。
会えないストレスで、僕に間違えて接吻をしてしまう程の…。

別に、いいじゃないか。その気持ちが僕本人に向かってないんだから。
きっと、男同士なんて、気持ち悪いだけだ…。
痛みを無理やり「気持ち悪さ」に変換して、心の奥底にぎゅうぎゅうと押し込める。
「そうかい、違ってて悪かったね」
ちょっと、言葉にとげが入ったかもしれない。
でもこれが、今僕に言える精一杯の言葉だ。

「いや、悪くないぜ?違うのがお前なんだなぁ、と思ってさ。」
…?
今まで僕のことを「弟に似てる、似てる」と言っていた口から、思っても見なかった言葉が聞こえた。
「は?」

エトヴァルトは「うーん…」と、少し言葉を探しているようだったが、見つかったのか、開き直ったのか、滔々と言葉を並べ始めた。
「いやさ、最初は確かにずっと、俺のアルがここに居ない代わりにお前が居る、と思ってたんだよ。でもそれは違うんだよな。アルフォンス・エルリックは唯一人で、アルフォンス・ハイデリヒも唯一人、なんだよ」
「はぁ」
??
そんなの、当たり前だ。彼が何を言いたいのか、今一僕には理解出来ない。

「俺のアルは俺にとって可愛いし、愛しいし、この世で唯一無二の1番の存在だ。でも、ハイデリヒ。お前だって『俺の中の別の場所』では俺にとって唯一無二の1番の存在なんだぜ?」
「……」
はぁ!?
そんなこと言われても、さっぱり君の思考回路は理解できないんですが、エトヴァルト?

「俺は確かに、お前をアルの代わりとして、今まで見て来た。でも最近アルとは違うところが目に付くようになったんだな、これが」
むっ。
どうせ僕は「君のアルフォンス」とは…
「で、その「アルと違う所」が気になって鼻に付くか、というと、それがまた不思議なモンで…」
くくっ、と自嘲気味の笑いがエトヴァルトの口から漏れる。
「その「違う所」も愛しい、って思っちまうんだよ。アルフォンス・ハイデリヒ君」

「な…っ!?」
僕が?「愛しい」?
えっ?「エトヴァルトの弟と違う所」が?愛しい、だって!?
僕は顔が熱くなるのを感じた。きっと耳まで真っ赤になっているような気がする。
な、なんで。「気持ち悪い」んじゃなかったのか?自分。
「嬉しい」なんて気持ち、どこの部分から出てきているんだ?



最初の意気込みは何処へやら。
ただ、顔を赤くして立ちすくむ僕に、彼は(何処から来るのか)自信満々にこう告げた。
「もちろん俺のアルは愛しい。でもお前も、アルフォンス・ハイデリヒも愛しているよ。アルフォンス・エルリックの代わりじゃなく」
僕の目を、真正面から捉えて、彼は僕に最終宣告をする。

「これはきっと『真理』じゃない。ただ、俺にとっては紛れもない『真実』だ。そこら辺は理解して、覚悟しておくように」

覚悟!?何を!?
嬉しいんだか、困っているんだか、怖いんだか、なんだか分からない気持ちのまま、かんぜんにテンパって、言葉にはならない言葉を心の中で叫んでみる。

そんな、立ったまますくんでいる僕の耳元で、追い討ちをかけるように彼はささやいてくる。
「愛しているよ。アルフォンス」

完全に、体中の力が抜けた。膝からカクンと床に倒れこみ…こみ?

…彼の、外見(服の上)からはわからない、力強い腕が僕を「半姫抱き」にしている。両腕があったら、完全にプリンセスホールドの体勢だ、これは。
恥ずかしい、恥ずかし過ぎる。この距離は反則だ。
なのに当の本人は、嬉しそうに笑っていて。
「ははは。こんな所もアルとは全然違うな。アルならあんな事を言った途端か、良くてもこの体勢になった途端に怒りの鉄拳が飛んで来るぜ?ひょっとして俺には、お前の方が合ってるのかもな!」
僕を抱きしめたまま、僕の方が良い、って所を羅列していきだす。

「牛乳を飲め飲めってうるさく言わないし」
(いや、チーズとかは食べるし、君、ミルク煮は好きだからそんなに生で飲まなくても、と思ってるだけで)
「俺が何処で寝ててもちゃんと毛布を掛けてくれてるし。小言なしで!」
(…だって、君が疲れているのは分かっているから)
「猫を勝手に拾ってきたりしないし」
(それは、…どうなんだろう?状況の違いじゃないかと…)

聞いてる内に、でもやっぱり比べられている感じがする、という気持ちと、純粋に僕を見てくれている、という嬉しさがわきあがってきて。
躊躇したけど、やっぱり言ってしまった。

「…僕も、好きだよ…。エトヴァルト」

その言葉に彼は
「そうだろう?お前が俺を好きになるのは当たり前なんだ。なんたって、俺がお前を好きなんだからな!」
と、これもまた、どこから湧き出てきているのか、自信満々に言い切った。











今度はちゃんとハイデの事が好きなエド。
私は「総攻」が大丈夫な人間なんでこれもありかな…と、書いてみました。
絶対泥沼な三角関係にならない三角関係。
しわ寄せがくるとしたら、アルからエドへ、のみですかね。
ハイデはそこら辺、達観…というかある程度の諦めが入ってると思うので。
これも姐さん、持って帰ってやってくだせえ。
うちのエドリヒは総て姐さんへの献上物です(笑)



ぐはぁぁぁぁ!!!!!!!!(吐血)
な、ななななんすか?なんすか?
献上物ってなんすか?
『うちのエドリヒは総て姐さんへの献上物』ってなんすかーーー????
そんなこんなで海原母さんに頂きましたエドリヒです…
たまらねぇ……!!!
さすがはエド攻め作家さんだ……!!!
エドがゴーイングMy上へって感じで(なんだそりゃ)堪りません母さん!!!
このあとどんな昼メロになっていくのかが楽しみで仕方ありません!!!(笑)
本当にありがとう、母さん!!!!


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