うさんくさい事だ、とエドワードは己を棚に上げてその話を聞いた。
 何でもこの研究所には15歳にして周りのオトナどもをぎゃふんと言わせる知能と才能を持った奴がいるのだと言う。
 正直そんな馬鹿なとも思ったが己も12歳にして国家資格を取ったので大っぴらにそれを馬鹿にする事は出来ず。
 好奇心と興味とで、一目見てやろうという気に成ったのだ。
 一体どんなうさんくさい奴だろう、そんな事を思いつつその『彼』が来るのをのべーっと待っていたら、目の前に茶が入ったカップが置かれた。一応客人扱いしてもらえているらしく、チャイナの小綺麗なティーセットだ。
「すみません、いい茶葉なんてここには無いんで…お口に合うかどうか」
「いや、気にし、な……っっっ!」
 かけられた声に顔を上げた瞬間、エドワードはただでさえでかい目をさらにでかく見開いてフリーズする。
 少しふわふわした様な感じの淡いブロンドに白い肌、澄んだ湖の様な蒼い瞳。
 つーかその顔は門の向こうにおいて来た弟に瓜二つというかそっくりそのまんま。
 おまけに声まで似ていやがると来たもんだ。
「あ、あの…どうかしました、か?」
 そういって首を傾げた仕草に、エドワードの脳裏を今まで一度だって考えた事も無い言葉が駆け巡る。


 なんじゃこのどうしよーもなく可愛い生き物は!!!!!
 も、萌、萌えるっ……!てゆーか燃える、かこの場合!?



「い、今ならお前がオレにそういった意味が分かるぜアル……」
「あ、ああの、どうしたんですか目がもの凄く遥か彼方を見てますよエルリックさん!!」
「いいからオレの事は金輪際エドワードと呼べ、命令だ!」
「え、えええエドワード…さん?(首傾げ)」
「っっっ!!!くそうヤベェ可愛いすぎるーーーー!!!!」





 これがエドワード・エルリック(16)とアルフォンス・ハイデリヒ(15)の初めての出会いであると共に、エドワードが逐一弟に萌え燃え言われていたその言葉の意味を改めて思い知った瞬間でもあった。





『萌えの原則(笑)』 2005.9.12


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