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なぁ、覚えているか?
お前は、オレと空へ飛んだんだ。
お前のその思いは、オレという存在を媒介に、空へ舞った。
お前のその願いは、オレという存在を触媒に、風に踊った。
わすれないで。
その言葉と共に、お前はオレにその願いを託した。
ああ、忘れないさ。
忘れる事なんで、出来ない。
あの日見た、祖国の空は。
お前の瞳に似た、青だったのだから。
飛んだんだ。
オレは、確かに、お前と飛んだんだ。
なあ、覚えているか?
オレは、まだ忘れられない。
お前と過ごしたあの、穏やかな時と。
お前の時折見せたあの、鮮やかな迄の空への渇望。
濁ったオレの意識に滲んだ。
それは鮮やかな、青。
あの時のオレには、お前は眩し過ぎた。
そしてオレは。
心の氷を溶かされないようかたくなに心を閉ざしてしまった。
もっともっとはやく。
そのぬくもりの本当の意味に気付いていたら。
世界はまた違う色で見えていたのかな。
あの、単色の世界では無い。
お前の眼に映っていた色鮮やかな世界が。
永遠に、何て言わない。
でも、天上の青は、今も覚えている。
お前の見せたかった、青い空は。
覚えているよ。
でも、忘れてやるから。
縛られたままなんて、望むべくも無いだろうから。
また、秋が来る。
忘れる事の出来ない、あの日がくる。
そしてオレは、忘れた頃にまたここに来よう。
なぁ、覚えているか?
さよならは、決して告げないと。
そう、言った事を。
またな、と。
そう言い残して。
オレはまた前を、向いた。
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『繰り返される邂逅は永遠の空へ』 2006.11.8
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