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 あの人は、とても綺麗な金色をしている。



 それは。
 どんな日差しも、色を変える秋の葉も、甘い蜂蜜も叶わない、きんのいろ。
 きらきららと、動く度にそれは揺れて。
 きらきららと、見つめる度にそれは煌めく。
 そのきんいろのひかりは、いつしか僕の胸に潜んで僕の胸を苦しくさせる。
 そのきらめきは、僕の心にいつしか熱い灯となって宿る。
 いっそ、僕の胸に救う黒い影を灼き去ってくれたらと。
 いっそ、僕をその熱で焼いて燃やして灰にしてくれればと。
 届けてはならない思いを抱いたまま、僕は胸の光が闇に浸食されるのをただただ見ていた。


 そして君は、空を駆ける金色の光そのままに、あるべき場所へと帰って行く。
 でも、君は夢であったここへ戻って来たね。
 ここは夢ではないと、言ってくれたのは聞こえていた。
 でも、僕はもう君の横で笑う事は出来ない。
 もし生きていたとしても、僕は君を置いて逝く事になるのだから。
 これで、よかったんだよ。
 僕は、やっと何かの為に生きる事が出来たんだから。



 泣かないで、泣かないで。
 大丈夫だよ。
 君の側にいるよ。
 でもお願いだから、僕に縛られないで。
 君は生きて、僕の分も生きて幸せになって。



 君の涙は、願うならば幸せの為に流れて欲しいから。



 きらきらひかる
 それはきんいろの
 やさしいやさしい
 ひかりの、あめであってほしい







 僕は、金の光にそっと寄り添う蒼い影。


 僕は、輝く太陽に焦がれた、真昼の蒼い月。


 君が、しあわせである様に、と。
 君を、そっとそっと、見守っている。







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『Goldregen  =ひかりのあめ=』 2005.9.12初稿/2006.7.4改稿


 
 

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